さらに、このピロリ菌が日本人に多い胃癌の原因であることも注目されています。ピロリ菌が感染した胃粘膜は萎縮や"腸上皮化生"と呼ばれる組織変化をきたし、この粘膜が胃癌の発生母地となり得るからです。日本では胃癌の患者さんのピロリ菌保有者は90%以上とされています。また、国立国際医療センター 内視鏡部 上村直実先生らにより、胃癌のない多数の方々の胃を10年間にわたり定期的な内視鏡検査により経過観察したところ、ピロリ菌陰性の方からの胃癌の発生はなかったという注目すべき結果が発表されました。世界的にも、1994年にWHOのIARCという機関から、ピロリ菌が胃癌発生のclass 1 発癌物質(発癌と非常に強い因果関係がある物質)と認定されています。
このようにピロリ菌と胃癌との関係がしだいに明らかにされ、胃癌の発症を防ぐための除菌治療の臨床的検討が進められていますが、現時点では胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるピロリ菌感染、ピロリ菌感染胃炎に対しても健康保険の適応が拡大されています。しかし、これらの疾患にかかわらず、 ピロリ菌の感染者に対しては、除菌により胃粘膜の状態を健常に保つことが、胃癌を含む胃の疾患の予防に大変重要であると考えられており、日本ヘリコバクター学会からも胃癌予防の見地から、 「すべてのピロリ菌感染症の除菌」が推奨されています。
ピロリ菌専門外来は、毎週火曜日の消化器専門外来内に設けております。当院では、保険外診療 (全額自費) でのピロリ菌の検査および除菌治療も実施しています。
次の方々がピロリ菌外来の対象となります。
検査及び 除菌料 |
(1)尿素呼気試験 | 11,000円 |
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(2)除菌料 | 20,350円 | |
(3)尿素呼気試験+除菌料 | 31,350円 |
夕食を軽く済ませ、午後9時以降検査が終了するまでは、水以外の飲食をしないでください。なお、お薬を服用されている方は予約時にご相談ください。
着替えのしやすい服装でのご来院お願いします。